痔の予防にも?肛門周囲の皮膚の荒れを防ぐには
日常生活のケアに加え、保湿剤の使用も有効
肛門周囲の皮膚の荒れを防ぐためには、日常生活のなかで、おしりを拭きすぎない、洗いすぎないことが重要です。また、おしりが蒸れた状態が続いても、皮膚が荒れる原因になりますので、長時間座りっぱなしにならないように注意が必要です。
こうした日常生活のケアに加え、肛門周囲の皮膚の乾燥を防ぐために、保湿剤を使用することも有効です。
保湿剤の種類とその機能
保湿剤はその作用の違いから、水分の蒸発を防ぐ「エモリエント」と水分を保持する「ヒューメクタント」の大きく2種類に分類されます。
エモリエント剤は、皮膚の表面を覆って油の膜を作ることにより、皮膚を保護する役割を果たします。また油の膜が皮膚からの水分蒸発を抑制するとともに、外部の異物や刺激から肌を保護する役割も果たします。製品としては、ワセリンやスクワランなどの油分がこれにあたります1),2)。
ヒューメクタント剤は、それ自体、あるいは皮膚成分と相まって水分を保持する機能に優れていて、角質層に浸透して機能します。グリセリン、コラーゲン、ヒアルロン酸などがこれにあたります。ただしヒューメクタント剤は、水分蒸発を抑制する働きはないので、おしりが蒸れている時には使用を控えましょう3)。
保湿剤は、それぞれの用途を理解して使い分ければ、肛門周囲の皮膚を守る大きな役割を果たしてくれます。普段の生活にプラスして取り入れてみませんか?
【参考】
1)平尾 哲二: 日本香粧品学会誌, 37(2): 95, 2013
2)高岡駅南クリニック: 高岡在宅褥創研究会議事録「第41回 肛門周囲皮膚傷害:浸軟はドライスキン」, 2009
https://www.ekinan-clinic.com/download/435/
3)一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会: IADベストプラクティス, 2018