人が便意を我慢できるメカニズムって?
私たちが、普段、スムーズに便意をコントロールできるのはなぜでしょうか?
肛門には、肛門括約筋という肛門を締めたりゆるめたりするための筋肉があります。肛門括約筋は、内肛門括約筋と外肛門括約筋に分かれており、この2つの筋肉のはたらきで、排便をコントロールしています。
さらに、「肛門のクッション」と呼ばれる部分が、普段、内肛門括約筋によって肛門が閉じているとき、水道のゴムパッキングのように、肛門をすき間なくピッタリと閉じるための役割を担っています。
2つの肛門括約筋
内肛門括約筋
普段、自分の意志とは関係なく肛門を締め付けているが、直腸に便が送られてくると自然にゆるむ。
外肛門括約筋
意識的に締めたりゆるめたりすることができる筋肉。
直腸に便が送られてきて自然に内肛門括約筋がゆるんでも、外肛門括約筋を意識的に締めることで、便をブロックできます。
急にトイレに行きたくなったときにがまんできるのは、外肛門括約筋のおかげです。
動画で見る「便意をがまんできるしくみ」
肛門のクッションと静脈叢
肛門のクッション部分には、細い血管の集まりである静脈叢(そう)があります。
この静脈叢は、痔の発症と大きく関係しています。排便時に強くいきんだり、便秘や下痢で肛門のクッション部分に大きな負担がかかると静脈叢の血液の流れが悪くなり(うっ血)、それが続くことで痔になるのです。
なぜうっ血する?
静脈叢はなぜ、うっ血するのでしょうか。それを理解するヒントは“2足歩行”にあります。2本足で歩く人間は、4本足で歩く動物と違い、おしりの位置は心臓より下にあります。
このため、ほかの動物に比べ、肛門にかかる圧力は高くなります。さらに、血液が心臓に戻るときは重力に逆らうわけですから、戻りにくく、うっ血しやすいのです。
2本足で歩く人間と痔は、切っても切れない関係にあるといえそうです。