便秘解消にも効果あり!?排便リズムを整えるおしりにやさしい食生活とは。
おしりに負担をかけない生活を送るには、何より正しい排便習慣を心がけることが大切です。そして、正しい排便を維持するには、しっかりと食べる、中でも食物繊維を十分とることが必要不可欠です。そうすることで排便状況が整い、痔の予防にもつながります。
いつもの食事だけでは食物繊維は不足しがち。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年)」によると、1日当たりの食物繊維摂取目標量は、18~64歳で男性は21g以上、女性は18g以上とされていますが、「平成30年 国民健康・栄養調査」の結果では、20~60代の1日あたりの食物繊維摂取量は男女ともに14g前後と、目標量に届いていません。特に20代~40代の働き盛りの世代に不足が目立ちます。
食物繊維が不足すると、便が排出されにくくなり、便の水分を腸が再吸収して硬くなることで、便秘になりやすくなります。また、腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が作り出す有害物質により下痢を引き起こすことも。
食物繊維には2種類あり、その摂取バランスが重要。
食物繊維には、水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維があり、それぞれ異なる働きがあります。排便状況の改善には、この2種類をバランスよく摂取することが重要であり、不溶性食物繊維:水溶性食物繊維がおよそ2:1になるように摂取することが理想的ともいわれています1)。
しかし「平成30年国民健康・栄養調査」によると、実際の食物繊維のバランスは不溶性:水溶性=およそ3:1と、不溶性に偏った状態。不溶性ばかりをとってしまうと腸の中で硬い便のかさだけが増え、かえって便秘が悪化してしまうこともあります。日々の食事の中で、2種類の食物繊維のバランスを意識してみましょう。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維について
不溶性食物繊維
水に溶けないため、水を吸ってふくらむことで便のかさを増やし、腸の蠕動運動を刺激する性質があります。不溶性食物繊維はよくかんで食べるようにしましょう。
食材2)
- キャベツ、レタス、ホウレン草などの野菜
- キノコ類
- 穀類、豆類
水溶性食物繊維
水分を抱き込んで便を軟らかくする性質に加え、消化吸収されずに大腸まで到達し善玉菌の栄養源となり、善玉菌を増やして腸内環境を改善させる性質があります。
食材 2)
- 海藻類
- ゴボウ、アボカドなどの野菜、果物
- 大麦、こんにゃく
乳酸菌やビフィズス菌と合わせて摂取することで、おなかの調子もぐっと良くなる。
シンバイオティクス
シンバイオティクスとは、プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌)とプレバイオティクス(善玉菌の増殖を助 けるオリゴ糖・食物繊維)を一緒に摂ること。これにより、善玉菌がさらに増えて、便秘や下痢になりにくくなります3)。
【参考】
1.松生クリニック 不溶性2:水溶性1が理想的 ファイバーバランス https://matsuikeclinic.com/column0010.htm
2.慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト: 「食物繊維の働きと多く含む食品」http://kompas.hosp.keio.ac.jp/file/medical_info/dietary_therapy/pdf/pdf_1_11.pdf
3. 原 博: 腸内細菌学雑誌, 16: 35, 2002